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「…え?…そんな事ないよ、あんなに格好いいヤツじゃない…」

ヒサギさんは、少し困ったように話しながら…けれど、ナナコの頭にやさしく手をふれてくれます。

『ヒサギさんに…和誠さんに…優しいお父さんに…もっと可愛がって欲しい!』

ヒサギさんの手がさわってくれるだけで、暖かさを感じるだけで、ナナコの中で、誰かがそう叫んでいるみたいです。

「本読みながら、ナナコ、千佳になっちゃって…和誠にぎゅってだきしめてもらって…あの…あんなふうに…ヒサギさんは千佳みたいな…ナナコみたいな歳の子の事が気になったりするコトってあるんですか?」

和誠の事を話しながら…優しい手を…髪をなでてくれるヒサギさんを感じながら、ナナコは気が付きました。
ずっと…小学生の頃から本を読みながら、ナナコはヒサギさんが好きだったんだ…年上の…お父さんみたいなヒサギさんが好きになっちゃっていたんだ!

「…ヒサギさん…」

ナナコは、一生懸命ヒサギさんを見上げます。
ヒサギさんは、深い色の優しい眼でナナコを見てくれています。

「ナナコ…」

ナナコの頬に手を触れて、キスをしてくれました。

□■□

やわらかいソファーの上、ナナコはヒサギさんにだっこしてもらっています。
あったかい…ナナコの髪をなでるヒサギさんの手…やさしいキス…やさしいお父さん…
ナナコはヒサギさんに抱きしめられて、体が中から熱くなってくるみたいです。


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