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「先生だって、今年の春に…ここが終わっちゃったから、転勤したんですよね?」
「ああ。まあ、教師の転勤はいつもある事だけどな。廃校っていうのは、なんともなあ。」

窓の外からは、蝉が鳴く声が聞こえます。木造の教室は昔より少しだけ小さく見えます。椅子や机も小さく感じるのは、ナツミの背が伸びたせいでしょうか。
教室に座っていると、誰もいない机にあの頃のクラスのみんなの姿が見えてくるようです。

「…まだ、教室がこんな風に残ってるなんて思いませんでした。」
「そうだなぁ。学校はこの春に廃校して終わってるけど、校舎は地域の集会所か何かに使おうとしてるらしいからな。」

先生は黒板に『集会所?』と書きながら話します。見慣れた…ちょっと下手な字です。

「なんだか、なつかしいです。小学校…ここ、楽しかったから。先生に会えたし。来てみてよかった。」
「ナツミからの『小学校、見にいきます』ってメールが無ければ先生も、もう来る事なかったかもな。」

先生はこちらを向きます。ナツミは先生と目を合わせながら言います。

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