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優美が初めて学校に赴任した年、―今からちょうど3年前に彼と出会いました。
彼は優美が副担任を務めるクラスの学級委員でした。
野球部のエースでスポーツ万能。勉強ができ、顔までかっこいいということで女子の間ではとても人気があるのに、
何故か彼女を作ろうとする様子がないということでみんな不思議がっていました。
担任の先生は「彼は将来を見据えて、今は受験のことだけ考えているようだよ。」と言っていました。
思春期の少年だというのに他とは一線を画したその雰囲気が余計に女生徒の心を掴んでいるのに、彼は素知らぬ顔です。
それでも優美にとって彼は初めのうちは一生徒でしかありませんでした。
十も年齢が違うので当然のことです。
D組の担任の先生は部活動の役員だったので、他のクラスより出張に出ることが多く、
優美は給食時間や帰りの会などを頼まれることがしばしばありました。
そのたび学級委員の彼に何かお願いしたり、指導したりしていました。
初めのうちはこちらを信頼していないのかあまりやる気がなく言うことを聞いてくれず、どうしようと悩みました。
しかししばらくして彼が優美に反抗したくてそうしているのではないのではないかと思うようになりました。
そんなに大したことじゃないこともいちいち優美に指示を仰いだり、学級会のときも会をまとめることができなくなり優美に助けを求めるような表情をしたり。

「あれ?何でもできるリーダー的存在だったんじゃなかったっけ…。」

優美はそう感じながら、一つ一つ話をしたり指示していくうちに初めのうちはやる気のなさそうだった彼も、それに応えようと頑張るようになりました。

修学旅行の係で彼は優美のいる係の委員長になりました。

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