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[高い椅子]

放課後。
離れた音楽室から吹奏楽部の練習の音が聞こえます。学校のはじっこにある小講堂の教壇。先生用の高い椅子にミクはひとりで座っています。
普段はあまり入らない小講堂はいつもの教室より大きく古い建物で、落ち着いたところがミクは好きです。少し段差のある床に椅子と机が並び、縦長の窓から、並木ごしの夕日がななめに差し込んでいます。

紺色の学校の制服のままで待っているミクは、退屈で、革靴を落とすように脱ぎ、床につかない足をぶらぶらとさせていました。

「…ミクさま…すみません。おそくなってしまいました。」

ミクの担任の由津木先生は静かにドアを開け、急いでこちらに来ます。ミクの前の床にひざまずくように座りました。
30分前まで先生は教室で一日の終わりの連絡をしていました。すこし若くて、優しくちょっと厳しい先生だったのですが、今、ミクの目の前にいる由津木先生は、ミクの「どれい」です。

「…ミクさまに今日お返しした、算数のテスト…とうとう100点でした。お約束通り、いつもよりもたくさん奉仕をさせてください。」


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