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「新刊はいかがですか？どうぞご覧になってください！新刊は…あ、御主人様だぁ！」

人混みの中、ユウは遠くから僕を見つけて手をふります。
即売会の会場は、小さな体育館ほどのホールでした。メイドのコスブレがあふれ、色とりどりの同人誌を展示した机が並びます。
長机の間の通路を人の流れにのって進み、ユウのいる机までたどり着きます。

「ふう…コミケだって言うから、もっと、ものすごく広い所で、大行列ができてるかと思ったよ。」
「御主人様、同人誌の即売会が全部コミケじゃないんですよ。コミケは正式名称コミックマーケットって言って年に二回、有明でやるやつです。こういう小さな即売会は全国各地でたくさんやってるんです。そもそも、こういう即売会は…って御主人様？聞いてますか？」
「え、あ、聞いてる、きいてる…あ、これ、新刊？」
「はいっ！できたてです。御主人様には一冊さしあげちゃいます」
「いやいや、ちゃんと買うよ。ユウたちが一生懸命作った本でしょう？こういうのはちゃんとしないと。」
「んー。はいっ。ありがとうございますっ！御主人様っ！」
「お買い上げ、ありがとうございます。」

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